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対話型講演会「英語ができれば国際人? - 鳥飼先生・大津先生との対話から考える」の開催記録を掲載しました

イベント概要

中京大学国際学部では、客員教授の鳥飼玖美子先生と大津由紀雄先生にご参加いただいて、以下のイベントを開催いたしました。
対話型講演会「英語ができれば国際人? - 鳥飼先生・大津先生との対話から考える」


講演者

鳥飼玖美子 先生(国際学部客員教授・⽴教⼤学名誉教授)
⼤津 由紀雄 先⽣ (中京⼤学国際学部客員教授・慶應義塾⼤学名誉教授)

日時

2022年7⽉2⽇(土)
学⽣グループワーク 13:00 〜 14:30
対話形式の講演会 15:00 〜 16:30

講演会チラシ


「英語ができれば国際人?」参加記

2022年7月2日、中京大学(名古屋キャンパス)に鳥飼玖美子客員教授と⼤津由紀雄客員教授にお越しいただき、「英語ができれば国際人? — 鳥飼先生・大津先生との対話から考える」と題した講演会を開いていただきました。
この度聴講記を書かせていただくことになりました、国際学部言語文化学科2年の山本悠人です。私は複言語複文化学を専攻しており、このイベントの「英語ができれば国際人?」というトピックに惹かれ今回参加を決めました。このイベントでは、2つの相対するトピックについてグループに分かれて考え、それをお二方と意見交換しながら議論してく形で進んでいきました。

はじめに、上記のトピックに沿って「英語だけ勉強するべき派」と、「複数の言語を勉強すべき派」という2つの主張に分かれて議論しましたが、率直に言うと、非常に興味深くも難しいものでした。というのも、私自身の考えとしては「英語だけ勉強する派」でしたが、グループはランダムで決まるため、自身の考えに反して「複数の言語を勉強すべき派」で議論を進めなければいけなかったからです。幸か不幸か、私が一番最初に発言することとなり、班でまとめた意見を率直にお二人にぶつけましたが、案の定先生方から手痛いご指摘を頂きました。その中でも、先生方と対話を進めていて最も興味深いと感じたのは、私達の「ビジネスにおいて英語以外の言語は使用頻度が低いから、英語ができればそれで良いのではないか」という意見に対して、「それは日本にいるからそう思えてしまうだけであり、実際はそうではない」とおっしゃっていたことです。「私達は普段日本語を使って日本の文化の中で生きているが故にその思考も“日本ベース”になっている」と先生方はおっしゃっていて、私にとってそれはまさに盲点であり、非常に驚かされました。確かに、日本から見れば、ビジネスで使われるのは英語というイメージが強くありますが、フランス語圏なら当然フランス語ですし、中国を相手に取引をするなら中国語を使うことになります。国際学部で、しかも複言語複文化学を専攻しているにもかかわらずこのことに気がつけていなかった自分にある種の恥ずかしさまで感じましたが、大変いい気付きにもなりました。

次に、鳥飼先生、大津先生からそれぞれ問いを出していただいたのですが、特に鳥飼先生からの「母語しかできない人はダメ人間?」「英語も第二外国語も、どちらも中途半端になったらどうする?」という問いが興味深いものでした。私個人の意見としては、前者の問いに対しては、母語しか話せない人はダメ人間ではないが、英語を話せる人の方がより良い、後者の問いに対しては、たしかに英語と第二外国語が中途半端になってしまうのではないかと考えていました。これらの問いに対して先生は「母語しか話せない人でも、ダメ人間ではないが、それは目的による」と言います。先生曰く、例えば、英語の論文を読んだり書いたりはできるけれども、英語を話すことが苦手なノーベル賞を受賞した物理学者がいたとしても、それはダメ人間ではありません。なぜなら研究をするのにスピーキング能力は必要不可欠な能力ではなく、実際にノーベル賞受賞という結果も残しているからです。しかも今は携帯の翻訳機能を使ってコミュニケーションを取る事ができるので、意思疎通に困ることもありません。このようなことを聞いて、私を含め参加者全員が英語を勉強する理由や目的について改めて見つめるきっかけになったと思いました。
そして、英語も第二外国語も中途半端になってしまうのではという疑問に対しては、「英語を学んでいれば他の言語を学ぶスピードも早いので、両方が中途半端になることはない」とおっしゃっていて、確かに英語とフランス語はスペルが似ているものが多く、英語学習者は上達しやすいと聞いたことがあります。実際私もフランス語を勉強していますが、そのように感じる場面は多くあります。スペイン語やドイツ語を勉強している他の参加者の方々も同じように言っていました。
今回このイベントに参加してみて、自分の思考がいかに凝り固まってしまっているか痛感しましたが、それと同時にお二方の考える「複言語感」をはじめとした様々な考え方を知ることが出来ました。貴重なお話をしてくださった先生方には感謝でいっぱいです。今回聞いたお話を自分なりに噛み砕いて、今後の自分の道を考えようと思います。
中京大学国際学部言語文化学科2年 山本悠人

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